「しない」こと

SM の嗜好というものは非常に多種多様で、お互いのやりたいことを完璧にすり合わせるのは不可能だと言っていいほどです。
しかし、「しない」こと、NG を事前にすり合わせておくことは可能だし、重要なことです。
ここでは、僕がどういったことを「しない」のかと、その理由を列挙していきます。

「しない」

身体を損なう行為

  • 痕になる怪我を負う行為
  • 合意のない肉体改造
  • 薬物や危険物の使用

といったことはしません。なぜこれらを行わないかというと、支払わせる代償に比べて僕自身があまり楽しくないからです。

僕は狭義のサディストではありません。つまり、相手に苦痛を与え、その様子に快感を覚えるタイプではないということです。
そうではなく、相手の性癖や習性を逆手に取り、取引ベースで追い詰めていく手続きが好きなのです。
だから身体を損なう行為に興味はありません。

ただしこれは、調教にいっさい苦痛を伴わないという意味ではまったくありません。
尻が赤く腫れるまで打つこともあるし、快楽の淵で首を絞めて酸欠状態にするのも常套手段です。
ただ、それらはあくまであなたを服従させる調教の手段であって、目的ではないということです。
なので当然、苦痛を与えるための行為が行き過ぎて、身体を損なうようなことがないよう、それらはコントロールされています。

極度に不衛生な行為

  • 大便を使ったスカトロ
  • 床や便器を舐めさせる
  • 虫や生物を使う

といったことはしません。これも身体的なリスクが大きいという意味では前項と同様ですが、加えて僕自身の嫌悪感もあります。

スカトロをしたり便器を舐めさせたりした後に、その口で奉仕をさせられるかというと、僕には無理です。
尿道に差し込むためにプラナリアを調達したくもないし、使われる生物への同情も感じます。

ただしこの場合、なにを不衛生と捉えるかは、僕自身の主観によっているという点には、注意が必要です。
たとえば僕は、小便をあなたの頭からかける行為はさほど不衛生と思っていません。
シャワーを浴びた上でですが、肛門を舐めさせる奉仕も性処理道具に対して当然命じます。
価値観によっては、そういったことにも耐えられないという方もいるでしょう。

社会性を損なう行為

  • 過度な露出
  • インターネット等への晒し
  • 仕事や家庭への干渉

といったことはしません。これらの行為をしないのは、持続性がないと思うからです。

僕の性的嗜好は「堕とす」という言葉に集約されます。
まずしっかりとした生活の基盤や、自立した人格があってこそ、調教し屈服させる「堕とす」快楽が生まれます。
あなたがもし社会的になんの価値もないゴミになってしまったら、僕は興味を持てません。
だからこのような行為はしないのです。

たとえば、全裸で免許証を咥えた写真を送らせる、という調教記録を読んで、流出のリスクに強い警戒感を抱くのは当然です。
僕もそのような事故で、せっかくの性処理道具であるあなたの価値を損なうのは本意ではありません。
したがって、そのような画像の管理には強固な防衛策を講じてあります。

金銭の授受

  • 金銭の要求
  • 金銭の支払い

といったことはしません。

僕からあなたを調教するために金銭を支払う、パパ活やサポという名称の下行われる買春行為は一切しません。
それは経済性の問題ではなく、気位の問題です。
「精神的にはマゾなのですが、援助も貰えると嬉しいです」などという誘いを受けることもありますが、お断りです。
いま目の前の女が平伏しているのは、僕の手腕でそうさせたのか、あるいは金の力に過ぎないのか分からないのでは、調教する意味がありません。

反対に、こちらからあなたに金銭やその他の資産を要求することもありません。マゾに金をたかろうとは思いません。
理由は、単純にかっこわるいと思うからです。
僕は幸運にも平均よりかなり高い収入を得ていますが、たとえ生活保護水準の収入しかなかったとしても、マゾに金をたかろうとは思わないでしょう。
それは自らの気高さを手放す行為だと思うのです。

とはいえ、「貢ぎ」という性癖があることは理解しているし、その性癖の構造は僕の好みです。
実際に「風俗で働かせて貢がせてください」と懇願されたこともあります。
金銭を得ることそのものを目的とせず、調教の一環として「貢ぎ」を受け入れることはあるでしょう。

なお、原則として、調教にかかるすべての費用(ホテル代、道具代など)は僕が負担することにしています。

その他の約束したNG行為

あなたが僕と関係を結ぶ前に、NG行為についてなんらかの相談をして、僕がそれに合意したとしましょう。
その行為は、信義によって「しない」ことを守られ続けるでしょう。

たとえばこれまでに、
「Rさんの調教記録を読んで強く憧れましたが、体質的にピルを服用することができず、中出しは受け入れられません」
というマゾがいました。

その条件に僕は合意したので、今までそのマゾにピルの服用を迫ったことは一度もなく、コンドームを着用しています。

一度合意したNGについては正しく守ることを、あなたにもお約束します。

まとめ

「しない」ことを事前にすり合わせて守ることは、SMのような特殊な関係においても重要なことです。
むしろ、非日常の世界で、ふたりの互いへの信頼でしか成り立たない関係だからこそ、ベースラインが重要であるとも言えるでしょう。

「しない」リストの中に、あなたが本当は「したい」ことが含まれているかもしれません。
それは、僕とあなたの相性が完全には一致していなかったということです。修正が不可能であれば、諦めるしかありません。

このような関係に、強制力は働きません。
警察が取り締まってくれるわけではないし、裁判所から執行命令が出ることもありません。
だからこそ、僕は僕自身の高潔さにかけて、ここに書いた言葉を守ります。